今月は賃金に関するお話です。2013年6月時点で完全失業率は3.9%に下がり、有効
求人倍率も全地域で前年を上回りました。特に製造業や宿泊・飲食サービス業での
求人が増えたようです。主な原因は円安による自動車を中心とした海外輸出の伸び、
外国人観光客の増加などによる従業員の採用などです。
ようやく日本の労働環境も明るい兆しが見えてきたようですが、何と言っても”良い
物価上昇”のカギを握るのが賃上げです。スイス大手金融機関であるUBSの報告では
2012年度の世界主要72都市の平均年収は1位がスイスのチューリッヒ(533万円)、
2位が同じくスイスのジュネーブ(503万円)、3位がデンマークのコペンハーゲン
(501万円)と続き、アメリカのNYが6位(407万円)で日本の東京はようやく
8位(376万円)となっています。また残業代を除く所定内給与(いわゆる基本給)
では日本は12ヶ月連続で減り続けており、先進国で最低水準、財政危機のあった
イタリアやスペインを辛うじて上回っているレベルです。
これからも日本の賃金は決して突出して高くないことが分かります。長く人事に
従事されている方は違和感を感じられるかも知れません。では、何故このような
状態になったのでしょうか?それは企業が正社員の採用を抑えているためです。
今では非正規雇用は就業人口全体の三分の一にまで達しており、この人たちの賃金
水準が名目賃金を下げていると指摘されています。
最初に求人増について触れましたが、これもいわゆる期間工やパートが中心です。
また失業率の低下の裏には非労働力人口(求職意欲喪失者)が増えたため完全労働
人口が減少したとも言われています。関係機関から報告されるデータを鵜呑みに
するのではなく、その背景をしっかり把握する事が大切なようです。

良い物価上昇:
「モノが高くなる⇒企業が儲かる⇒賃金が増える⇒購入が増える」これが”良い
物価上昇”で、政府や日銀の政策が目指すものです。ところが現在は円安のため
輸入コスト(食糧やエネルギー)が上昇して物価が上昇していますが、賃金は
増えておらず家計を圧迫する、”悪い物価上昇”の状態と言えます。